この記事は、以下のような人に向けた記事となっています。
「本当にこの仕事に意味はあるのだろうか?」
「なぜこんなに会議が多いんだろう、時間の無駄に感じる。」
「仕事に満足していない、もっと意義のあることをしたい。」
それがいわゆるブルシット・ジョブ。
通称:”クソどうでもいい仕事”。
「ブルシット・ジョブ」とは、社会的または個人的に意味のある貢献をほとんどしない職業を指し、これには多くの現代の仕事が含まれます。
本記事では、「取り巻き」「脅し屋」「尻ぬぐい」「書類穴埋め人」「タスクマスター」という5つのブルシット・ジョブのカテゴリーを詳細に解説します。
より意義のある職業への転職、副業を通じた自己実現など、ブルシット・ジョブの問題に対する具体的な解決策を提案します。
ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)とは何かに興味はありませんか?
この記事では、意味のない仕事が個人の精神衛生に及ぼす影響と、そのような職業から脱却するための具体的な方法を紹介します。
仕事に不満を持っている、もしくはより意義のある職業に就きたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ぶっちゃけ、全ての社会人が知っておいたほうがいい概念だと思います。
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はじめに
「ブルシット・ジョブ」という概念は、社会学者デヴィッド・グレーバーによって提唱されました。
彼は2013年の論文で、多くの現代の職業が実際には社会的に無意味であると主張しました。
ブルシット・ジョブの定義と背景
ここではブルシット・ジョブの定義と発生した背景について、下記の内容で触れます。
ブルシット・ジョブの定義
「ブルシット・ジョブ」とは、社会的にまたは個人的に意味のある貢献をほとんどまたは全く提供しないにもかかわらず、その存在を正当化する必要がある職業です。
デヴィッド・グレーバーは、このような職業が拡大している原因として、自動化と技術の進歩が労働者にとっての余暇を増やす代わりに、管理や形式的な役割を増やす方向に用いられていることを指摘しました。
これにより、社会的に「必要とされる」と見なされるが、実際には生産的でない職業が生み出されています。
この「実際にはいらない職業・仕事」がブルシット・ジョブ。
ブルシット・ジョブが生まれた背景
ブルシット・ジョブが生まれた背景としては、下記のような経緯があったとされています。
古典時代の貴族には軽蔑されがちだった労働が、ジョン・ロックなどの近代初期の哲学者によって道徳的な美徳として再評価されました。
ピューリタンの倫理観によって労働の美徳がさらに強化され、労働を通じての社会的な地位や個人の価値の正当化が進みました。
この文化は、生産的でなくとも「働いている」という事実を重視する現代の職業観につながっています。
ピューリタンの倫理観
ピューリタンの倫理観では、全ての合法的な仕事は神への奉仕とされ、日常生活の中での労働も神に仕える行為と見なされていました。
で、現代において、多くの人々が「自分の仕事は実際に社会的に意味のある貢献をしているか🤔?」と疑問を持つことになりました。
例えば、世論調査代行会社YouGovの調査によると、働く大人の約37%が自分の仕事が世の中に意味のある貢献をしていないと感じています 。
参考リンク(外部サイト様)
これは、ブルシット・ジョブがただ単に雇用を提供するためだけに存在していることを示しており、これにより心理的な不満や職業的な不充足感が増加しています。
この背景と定義を理解することは、ブルシット・ジョブの問題に対処するための方策を考える上で非常に重要。
ブルシット・ジョブの5つのカテゴリ
デヴィッド・グレーバーは、ブルシット・ジョブを5つの主要なカテゴリーに分類しています。
これらの5つのカテゴリーは、それぞれ異なる形で無意味な仕事の特徴を示しています。
注:あくまでも、これはメジャーな5種類。
この5種類だけがブルシット・ジョブというわけではありません。
「実際にはいらない職業・仕事」の全般がブルシット・ジョブ。
① 取り巻き
「取り巻き」は、上司や組織を重要そうに見せるためだけに存在する職業です。
これには、受付、ドアマン、個人秘書などが含まれることがあります。
これらの職業は、実際には組織にとって必要不可欠な貢献をしているわけではなく、むしろステータスや権威を示すために設けられています。
前職では、社長を偉そうに見せるために、取り巻きの重役がやたらと多くなっていました。
で、不要な管理職が増えまくった結果、後述の「タスクマスター」が大量発生するという地獄。
その会社は倒産しました。
② 脅し屋
「脅し屋」は、他人を脅迫するか、あるいは欺くことを含む職業です。
ロビイストや顧問弁護士、一部のマーケティングの専門職がこのカテゴリに該当することがあります。
これらの職業は、しばしば企業や組織の利益のために倫理的に問題のある行動を正当化する役割を担っています。
不要な商品・サービスを、まるで必需品であるかのように営業・宣伝をして顧客を煽る・脅す仕事もここに含まれます。
③ 尻ぬぐい
「尻ぬぐい」は、組織内の問題や欠陥を隠蔽するために存在する職業です。
たとえば、技術的な問題を一時的に修正するITサポートや、顧客の不満を処理するカスタマーサービスが含まれます。
これらの職業は、根本的な問題の解決ではなく、表面的な問題の解決に従事していることが多いです。
根本的な解決をすれば済むトラブル(実は3秒で解決できたりする)なのに、何度も何度も永遠に応急処置をし続けるイメージ。
あと、組織や従業員が行っている不正行為・違法行為の辻褄を合わせるために「尻ぬぐい」をさせられるのもこれに該当。
④ 書類穴埋め人
「書類穴埋め人」は、形式的な報告や文書作成に従事する職業です。
その多くが実際には組織の運営に役立っていません。
これには、無用なレポートを作成する管理者や、過度に複雑な規制遵守を担当するコンプライアンス担当者が含まれることがあります。
誰も見ないマニュアルとか日報を上司の命令で作らされますよね?
アレのこと。
⑤ タスクマスター
「タスクマスター」は、他人に仕事を割り当てることが主な職務であり、実際には生産性を向上させるわけではない管理職です。
明らかにやらなくていいクソ仕事や、そいつに言われなくても従業員たちは通常業務として普通にやる仕事。
これらを、毎回わざわざ部下たちに指示してくる(本当は暇な)上司がいますよね?
その人が「タスクマスター」。
ただし、勘違いしてはいけないのは、その人達も好んでタスクマスターをしているわけではないということ(例外あり)。
これらの職種は、しばしば中間管理職に見られます。
彼らの主な役割はチームの作業を監督し、報告することです。
しかし、それが必ずしも効率的な業務運営に貢献しているわけではありません。
これら5つのブルシット・ジョブは、形式的な要求や管理上の理由によって生まれる職業です。
まず、これらブルシット・ジョブが個人の職業的満足や社会全体の生産性にどのような悪影響を与えているのかを整理して理解しましょう。
ブルシット・ジョブとの向き合い方を考える足がかりになります。
日本におけるブルシット・ジョブの事例
ここでは、日本におけるブルシット・ジョブの例を下記の内容で紹介します。
ムダ会議とその社会的コスト
前述の5類型からは外れますが、日本の職場における「ブルシット・ジョブ」は、いわゆる「ムダ会議」が筆頭に上がると思います。
ムダ会議は、参加者が会議の有用性を感じていないにも関わらず、形式的な理由で続けられる会議のことを指します。
ありえないくらい巨大な無駄コストが日本中で発生していますよね。
パーソル総合研究所による2018年の調査では、会社のメンバー層で23.3%、上司層で27.5%の人々が会社の会議がムダであると感じていると報告されています。
1万人規模の企業でムダ会議に使われるリソースを計算すると、人件費として約15億円の損失が発生していることが示されています。
企業が無駄な会議に投じる時間と資源の無駄遣いが、単に経済的な損失に留まらず、従業員のモチベーション低下や生産性の低下にも繋がっています。
誰も得しない。
日本の職場での具体的な事例と影響
ムダ会議以外にも、日本の職場では下記のような形式的な作業がブルシット・ジョブの一例として挙げられます。
日本のブルシット・ジョブは形式的な作業が多い
- 各種の日報
- 報告の過剰な要求
- 誰も活用しない報告書・作業マニュアルの作成
- 必要以上に詳細な手続きの遵守
これらの作業は、実際の業務の効率を阻害し、従業員のクリエイティビティや主体性を削ぐことにも繋がっています。
これらのブルシット・ジョブは、従業員の仕事に対する満足感や職場での幸福感を大きく損なう要因となっています。
無意味な作業が増えることで、仕事の意義を見出しにくくなります。
その結果、ストレスや離職のリスクも高まります。
したがって、これらの問題に対処することが、日本の企業にとって急務となっています。
日本のように高度に組織化され、形式主義が根強い文化では、ブルシット・ジョブの存在が特に顕著になりがちです。
ブルシット・ジョブを撲滅した企業から発展していく気がする。
日本独自の労働環境とブルシット・ジョブ
「そもそも、なんで日本はこうなってるの?」というお話。
日本の労働環境は、その長時間労働や過度の形式主義でしばしば問題視されます。
これらの特徴が、ブルシット・ジョブ(社会的または個人的に意味のある貢献をほとんどしない職業)の発生にどのように影響しているのか、以下の内容で分析します。
長時間労働の文化
社会的期待と企業文化
日本の長時間労働は、単なる労働環境の問題を超え、社会全体の期待と企業文化に根ざしています。
労働者は、仕事を通じて忠誠心や責任感を示すことが期待され、これが過労死やメンタルヘルスの問題を引き起こすこともあります。
「労働は美徳」として高く評価される日本の謎の文化が、形式的な業務やブルシット・ジョブの増加に寄与している のです。
労働生産性の矛盾
日本はG7国中で労働生産性が低いことで知られていますが、これは非効率的な業務が多いためです。
長時間労働にもかかわらず、その時間が生産的な成果に直接結びつかないことが少なくありません。
この非効率が日本でブルシット・ジョブを生み出しやすい環境を作っています。
形式主義とその影響
無意味な会議と報告の義務
日本の職場では形式主義が強く、しばしば前述したような無意味な会議や冗長な報告が求められます。
これにより、実際の仕事の進行よりも、形式を重んじる文化が育ちます。
時間とリソースの浪費を生み、従業員のモチベーションを低下させる原因にもなります。
役割とステータスの象徴
日本では職位や役割が個人のステータスと密接に関連しており、その結果として「見える仕事」を増やす傾向にあります。
例えば、多数の部下を持つことが管理職のステータスを象徴する場合、その多くが実質的な業務を持たないブルシット・ジョブになりがちです。
形式上の地位を維持するために、無意味な職務が生み出される一因。
ブルシット・ジョブの社会的影響
ブルシット・ジョブは、単に労働市場の一部として存在するだけでなく、深刻な社会的および心理的な悪影響をもたらしています。
ここではブルシット・ジョブの社会的影響について、下記の内容で触れます。
これらの職業が個人のアイデンティティや経済全体に与える悪影響は、無視できないほど重要。
仕事の意味と個人のアイデンティティに関する心理的影響
仕事は多くの人々にとって自己価値の源泉であり、個人のアイデンティティ形成に重要な役割を果たします。
しかし、ブルシット・ジョブに従事している人々は、その仕事が社会的に意味のある貢献をしていないと感じることが多く、これがストレスや職業に対する満足感の低下につながります。
そりゃそうだ。
研究によると、仕事が自己実現に貢献していないと感じることは、下記のような問題に繋がります。
やりがいのない仕事が引き起こす悪影響の例
- 職場での不幸感
- モチベーションの欠如
- メンタルヘルスの問題
経済的な影響と生産性への影響の分析
ブルシット・ジョブは経済的にも大きなコストを生み出しています。
明らかにあらゆる資源のムダ遣いであり、生産性の低下の要因になりえます。
特にムダ会議などの形式的な活動は、直接的な人件費の損失だけでなく、創造的な業務や本来の業務の効率を阻害することで間接的なコストを生じさせます。
また、無意味な職業による不満が労働力の流出に繋がります。
その結果、新人のトレーニングや人材の再配置に関連するコストも増加させます 。
これらの心理的および経済的影響は、個々の労働者だけでなく、組織全体、さらには社会全体の福祉に悪影響を及ぼしています。
ブルシット・ジョブが持続することは、経済成長の潜在能力を制限し、広範な社会的問題を引き起こすリスクがあります。
『ブルシット・ジョブ』という概念がもっと広まれば、社会や日本も変わるかも…いや、どうだろう…。
解決策:退職・転職・副業
ブルシット・ジョブの問題に対処するためのさまざまな解決策が提案されています。
ただし、ベーシックインカムやフレックス制など、日本では厳しいものが多いです。
ここでは、現代の日本におけるブルシット・ジョブに対する対策として、退職や転職の選択、副業を通じた自己実現の方法について考察します。
退職と転職
不満足な職場やブルシット・ジョブからの脱却として、退職や転職が選択肢となります。
今の職場のブルシット・ジョブを無くそうとすると、多大な労力が必要になります(しかも成功率は低いです)。
あなたがそこまでする義務はありません。
自身のスキルや興味に合った職種に転職することで、職業生活の質を高め、より生産的なキャリアを追求することが可能です。
退職代行サービスだけでなく、下記のように転職を支援するサービスも豊富に存在します。
副業で自己実現を図る
本業でやりがいを得られない、退職も転職も難しい…ならば自分でやりがいのある仕事を作れば良いのです。
副業やフリーランスとしての活動は、本業だけでは得られない充実感や創造的な満足感を得る手段として注目されています。
特にブログの運営がおすすめ。
副業を通じて新しいスキルを習得したり、情熱を持って取り組める分野で働いたりすることで、自己実現を図ることができます。
参考リンク(外部サイト様)
幸福感・充実感は自分で作るものであって、会社から与えられるものでも奪われるものでもありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事の内容をまとめて締めたいと思います。
この記事のまとめ
- ブルシット・ジョブの定義: 社会的にまたは個人的に意味のある貢献をほとんどまたは全く提供しない職業。これには、形式上必要とされるが実際には無意味な仕事が含まれます。
- ブルシット・ジョブの5つのカテゴリ:
- 取り巻き: 見栄えのためだけに存在する職業。
- 脅し屋: 他人を脅迫または欺く職業。
- 尻ぬぐい: 組織の欠陥を隠蔽する職業。
- 書類穴埋め人: 形式的な文書作成に従事する職業。
- タスクマスター: 他人に仕事を割り当てるだけの職業。
- 日本の事例: ムダ会議や形式的な報告がブルシット・ジョブの例。経済的損失や従業員のモチベーション低下に繋がっています。
- ブルシット・ジョブの影響: 個人のアイデンティティと心理的健康に悪影響を及ぼし、経済全体の生産性を低下させる。
- 解決策と展望:
- ベーシックインカムの提案: 経済的圧力からの自由を提供。
- 退職や転職: より満足できる職業への移行を支援。
- 副業: 創造的な活動を通じた自己実現の促進。
今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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