その多くは劣等感や自己愛、支配欲の裏返し
感情的に反応せず、冷静かつ簡潔に受け流すのが基本
相談・記録・法制度・筋トレによるメンタル強化で対抗可能
はじめに
ブラック企業や職場の人間関係に悩む人にとって、日常会話で他人の些細なミスや言葉尻を捉えて責め立てる「揚げ足を取る人」の存在は大きなストレスです。
例えば、同僚との何気ない会話で事実関係の細かな間違いを必要以上に指摘されたり、上司に報告した内容の言い間違いを執拗に責められたりすると、自信を失ったり萎縮してしまうものです。

『反論するのがダルくなって黙ったら言われっぱなしになる』のもあるある。
このような環境では上司や同僚の些細な指摘や非難が常態化し、揚げ足取りがいわば組織の文化になっていました。
では、なぜ人は他人の揚げ足を取ってしまうのでしょうか。



本記事では揚げ足を取る人の心理的な背景5選を科学的根拠に基づいて解説し、あわせてその対処法についても紹介します。
心理① 劣等感・低い自己肯定感による自己防衛
揚げ足を取る人の根底には、強い劣等感や自己肯定感の低さが隠れていることがあります。
自分に自信がないために、他人の些細なミスを指摘することで相対的に優位に立ち、自分の弱さを覆い隠そうとする心理です。
このような行動は心理学で投影と呼ばれ、フロイト以来の古典的な防衛機制ですprweb.com。
自分自身の欠点や失敗を直視できない人ほど、それを他人に投影して批判しがちだとされています。
実際、2021年にカナダのPsychTests社が13,999人を対象に行った調査では、他人のミスを頻繁に指摘する「揚げ足取り気質」の人々は、そうでない人に比べて「自分は無価値だ」と感じる人の割合が約2倍(43% vs 23%)にも上りましたprweb.comprweb.com。
また、自分の決定に自信が持てず、何か行動する前に周囲から繰り返し reassurance(安心材料)を求める割合も、揚げ足取り気質の人で有意に高かった(56% vs 37%)ことが報告されていますprweb.com。
これらのデータが示すように、揚げ足取りをする人は内心では自己評価が低く、常に不安や劣等感と戦っている場合があります。



その劣等感の裏返しとして、他人の粗探しをせずにはいられないということ。
こうした心理を持つ人への対処として大切なのは、相手の批判を深刻に受け止めすぎないことです。
彼らの指摘は往々にしてあなたの能力の問題ではなく、本人の自己不安の表れです。



「自分が責められるのは自分がダメだからだ」
と必要以上に落ち込まず、心の中で



「これはこの人自身の問題なんだ」
と認識しましょう。
心理② 承認欲求・自己愛傾向の強さ
揚げ足取りをする人には、過剰な承認欲求や自己愛傾向(ナルシシズム)が見られる場合があります。
自分が常に正しく優れていたい、周囲から賞賛されたいという欲求が強いため、他人の間違いを指摘して



「自分の方が上だ」
と示したがるのです。
心理学研究によれば、自己愛傾向の強い人は攻撃的な言動に出やすいことがメタ分析で確認されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.govpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。
実際、ナルシシズム(自己愛傾向)と攻撃性との関連を437件の研究から統合した2021年のレビューでは、自己愛傾向の高い人ほど様々な攻撃行動(言語攻撃や暴力など)を取りやすいことが示されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.govpubmed.ncbi.nlm.nih.gov(このレビューは米オハイオ州立大学のBushman教授らによるものです)。
また、自己愛傾向の強い人は往々にして共感性の欠如が指摘されます。
他人の気持ちや立場に立って考えるのが苦手で、自分の優位性を示すことばかりに注意が向くため、揚げ足取りによって相手が傷つくかもしれないという発想が乏しいのですpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
例えば、「自分は常に正しい」と信じて疑わない上司や同僚は、部下や周囲のミスを見つけると容赦なく指摘し、自分の方が知識や能力で勝っていると誇示しがちです。
その背景には「自分は認められて当然だ」「自分を批判する者は妬んでいるだけだ」といった歪んだ信念も見られます。
前述のPsychTests社の調査でも、揚げ足取り気質の人の35%が「自分はほとんどの人より優れている」と考えている一方、非該当者でそう考える人は11%にとどまりましたprweb.comprweb.com。



つまり、このタイプの人は自己評価が過大で、自分の誤りを認めず他者を見下す傾向が強いのです。
このような自己愛的な人物に対しては、毅然としつつも冷静な態度で接することが重要です。
彼らは自分が優位に立てないと感じると不機嫌になったり攻撃的になったりするため、こちらが感情的に反応すると思う壺です。
指摘された際は一度深呼吸し、「ご指摘ありがとうございます。では次回から改善しますね」など最低限の返答に留めましょう。
過剰にへりくだったり逆に挑発したりせず、淡々とした対応を心がけることで、相手の「マウントを取りたい」という欲求を空回りさせることができます。
また、あまりに理不尽な場合は周囲の信頼できる同僚に相談し、第三者から客観的に見てもらうのも有効です。
自己愛が強い人は自分が優位に立てない場面では大人しくなるケースもあるため、複数人の前で指摘されたら同僚にフォローしてもらうなど、一人で抱え込まない工夫も大切です。
心理③ 支配欲・権力志向の表れ
職場で他人の粗探しばかりする人には、他者を支配したい欲求や権力志向が強いタイプも存在します。
これは主に上司や先輩など立場が上の人に見られがちですが、同僚間でも自分が主導権を握りたい人が揚げ足取りをすることがあります。
こうした人々は、些細なミスを指摘し相手を萎縮させることで、自分が優位に立ち続けようとします。
研究でも職場のいじめ加害者(攻撃的な言動をする人)は、ダークトライアドと呼ばれる特性――マキャベリズム(他者を巧みに操ろうとする傾向)、サイコパシー、ナルシシズム――が平均より高いことが報告されていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
これらの特性を持つ人は他者への共感や倫理観が低く、目的のためには手段を選ばない冷酷さや攻撃性を示すことがありますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
特にマキャベリズム傾向が高い人は計算高く陰湿な戦略をとりやすく、表向きは些細な「指導」「注意」の形をとりつつ、実際には標的の社員を追い詰めるような揚げ足取りを継続するといったケースもあります。
管理人の経験でも、かつてのブラック企業の上司は会議やチャットで部下の小さなミスをことさらに指摘し、皆の前で恥をかかせることで「お前たちは常に俺のチェック下にあるんだ」という圧をかけてきました。



部下たちは委縮し萎縮してしまい、上司に逆らえなくなる――まさに悪循環です。
こうした人物への対策としては、記録を残すことと然るべき機関への相談が有効です。
日々の揚げ足取りや高圧的な指摘を受けた場合、日時・内容をメモし、可能であれば会話を録音しておきましょう。



事実関係の証拠が蓄積すれば、人事部や第三者機関に相談するときに状況を客観的に伝えやすくなります。
後述しますが、近年はパワハラ防止法により企業に対策が義務付けられていますmhlw.go.jpので、会社内の相談窓口(ない場合は労働局など外部の相談先)に記録を持って相談することも検討してください。



支配欲から揚げ足取りをしてくる人には、個人で立ち向かうのが難しいことも多いため、組織的な対処も視野に入れるべきです。
心理④ 共感性の欠如とサディスティックな傾向
一部の揚げ足取りをする人には、他人への共感性が乏しいために平気で相手を傷つけてしまうケースもあります。



本人に悪意がない場合でも、相手の立場や気持ちを想像する力が弱いと、結果的に揚げ足取りのような言動になってしまうのです。
例えば、相手が恥をかいたり落ち込んだりする可能性を考慮せず、



「間違いは正すべきだ」
と硬直的に信じ込んでいる人は、場所や状況をわきまえず揚げ足を取ってしまうことがあります。
このような人はコミュニケーションスキルや感情知能(EQ)の低さが背景にあるかもしれません。



職場では専門知識が高く真面目でも、人の感情に疎いために部下や同僚の小さなミスをいちいち指摘して嫌われてしまう上司もいます。
一方で、明確な悪意をもって揚げ足取りをするタイプも存在します。
彼らは他人の失敗や欠点を指摘することで優越感を得たり、他者が困惑する様子に快感を覚えることさえあります。
海外の心理調査では、揚げ足取りのように他人のミスをあげつらう人の中には他人の失敗に対しサディスティックな喜びを感じる傾向が示唆されていますprweb.com。
共感性の低さゆえに罪悪感がなく、むしろ



「ざまあみろ」
と他人を見下す材料にしてしまうのです。
例えば、職場でわざと人前で部下のミスを指摘して辱める上司は、このタイプかもしれません。



これは本人の人格的な問題であり、常習的になると職場いじめ(モラルハラスメント)の域に達します。
共感性欠如型の人への対処は難しいですが、毅然かつ端的なコミュニケーションが有効です。
もし繰り返し些細なことで非難される場合、



「細かい点のご指摘ありがとうございます。ただ、大局に影響しない点ですので今後はお気をつけていただけますか」
といったように、相手の指摘が建設的でないことを冷静に伝えるのも一法です。
ポイントは感情を込めすぎず、事実ベースで伝えることです。
「その指摘は理解しました」とまず受けた上で、



「ただ、その件は全体の進捗には影響しない範囲かと思います」
と付け加えるなど、こちらも論理で返すと相手もそれ以上深追いしにくくなります。
また、このタイプには周囲の目も効果的です。
別の同僚や第三者がいる場で過度な揚げ足取りをされた場合、



「○○さんの言う通りですね。ただ今はこの件より大事な議題に集中しませんか?」
と同僚が言ってくれるだけで、相手も引き下がることがあります。
要は、共感力のない人には一人で対峙せず、職場全体で健全なコミュニケーション文化を作ることが理想です。



そのためにも日頃から信頼できる同僚と情報共有し、孤立しないようにしましょう。
心理⑤ 嫉妬心・ストレスのはけ口
最後に、揚げ足取りの背景として見逃せないのが、嫉妬心やストレスのはけ口としての心理です。
例えば、自分より有能な同僚に対して劣等感や妬みを抱いている人は、相手の粗を探して評価を下げようとする傾向があります。



「あの人ばかり成果を出して悔しい。でも直接攻撃はできないから、些細なミスを指摘してやろう」
という具合に、嫉妬が揚げ足取りという形で現れるのです。
実際、職場のいじめ研究では嫉妬や競争心が人間関係の摩擦を生み、陰口や過剰な批判といった攻撃行動につながることが示唆されています(例えば組織心理学の文献で、成果主義の職場では嫉妬による足の引っ張り合いが発生しやすいとの指摘があります)。



揚げ足取りも、その人に対するライバル心や妬みが原因であるケースでは、表面的には「ミスの指摘」を装いながら内心では相手を貶めたい気持ちが渦巻いている可能性があります。
また、自身のストレスを他人にぶつけている場合もあります。
上司から日常的に叱責されている社員が、その鬱憤を晴らすかのように自分より立場の弱い新人のミスを鬼の首を取ったように責め立てる――これは典型的な例です。
心理学ではこのように本来の原因ではない対象に攻撃を向けることを「置き換え攻撃(displaced aggression)」と呼びますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
職場全体がストレスフルな環境(例えばブラック企業のように上から下への圧力が強い組織)では、この置き換え攻撃の連鎖が起きがちです。
上司に怒られた中間管理職が部下の粗探しをし、その部下がさらに後輩に当たる…という負のスパイラルです。
このようなケースでは、揚げ足取りをする人自身も被害者であり加害者でもあると言えます。



もちろんだからといって許される行為ではありませんが、背後にあるストレス要因に目を向けると、その人の攻撃性の原因が見えてくることもあります。
嫉妬心が動機の場合、その人はあなたの活躍に焦りを感じているのかもしれません。
自分の仕事ぶりに自信を持ちつつ、挑発には乗らないようにしましょう。
嫉妬からの揚げ足取りには、下手に反論すると相手の劣等感をさらに刺激し、執拗さが増す恐れがあります。
むしろ



「指摘してくれてありがとう」
とさらりと受け流し、相手が付け入る隙を与えないことです。
一方、ストレス発散型の人に対しては、同情は禁物ですが冷静な距離の置き方が必要です。あまりに理不尽な攻撃が続く場合、



「○○さんもお疲れのようですね。落ち着いて話しませんか?」
といった形で、一度相手に自己洞察を促すのも手です。
ただし言い方を間違えると火に油を注ぐため、難しい場合は無理せず周囲に助けを求めましょう。



いずれにせよ、嫉妬やストレスからくる揚げ足取りに巻き込まれないためには、あなた自身が冷静さを保つことと、後述するような適切な対処策を取ることが重要です。
揚げ足取りする人への対処法5選
揚げ足取りをする人の心理を理解したところで、次に具体的な対処法を解説します。



どんな理由であれ、日常的に揚げ足を取られる側のストレスは甚大です。
以下では心理面の対処から実務的・法的な対処まで、職場で試せる方法を5つ紹介します。



ご自身の状況に合わせて、できるものから取り入れてみてください。
対処法① スルースキルを身につける(受け流す)
揚げ足取り攻撃から身を守る基本は、深刻に受け止めすぎず上手に受け流すことです。
いちいち相手のペースに巻き込まれていては、こちらのメンタルがもちません。
相手が何か小さなミスを指摘してきても、



「はいはい、また始まったな」
と心の中で軽く流すスルースキル(無視する技術)を磨きましょう。
具体的には、指摘された瞬間に5秒ルール(心の中で5つ数える)を実践し、すぐ反応しない癖をつけますreddit.com。一呼吸置くことで感情的なリアクションを防ぎ、冷静さを保てます。
その上で、「なるほど、そうですね」と一言返して話を切り上げるか、



「ご指摘ありがとうございます、参考にします」
と軽く受けて次の話題に移すようにします。
ポイントは相手に議論の余地を与えないことです。
下手に言い返したり弁解したりすると、揚げ足取りタイプはさらに攻撃材料を探してきます。



ですから、一度受け止めるふりをして実質スルーするのが効果的です。
もちろん、完全に無視するのが難しい場面もあります。
会議中など公の場で指摘された場合は無視できませんが、その場合でも必要以上に謝らない・萎縮しないことを意識しましょう。
揚げ足取りをする人は相手が萎縮する様子を見ると内心ほくそ笑む傾向があるため、こちらが冷静でいることが一種の防御壁になります。
心の中で「この程度のミスでガタガタ言うなんて、小さい人だな」と割り切り、自分自身を責めないようにしましょう。過度に真に受けず受け流す技術は、ストレス耐性を高めるトレーニングにもなります。



揚げ足取りに悩まされているときこそ心の筋トレだと思って、スルースキルを実践してみてください。
対処法② 冷静かつ簡潔に言い返す(境界線を引く)
スルーが基本とはいえ、あまりに理不尽な揚げ足取りが続く場合や、相手との関係性によっては一度きちんと意思表示することも必要です。
ただし感情的に怒ったり長々と言い返したりするのは逆効果です。



効果的なのは、冷静かつ簡潔にこちらの考えを伝えることです。
例えば、頻繁に細かなミスを指摘してくる同僚には、



「細部まで気を配ってくれてありがとう。ただ、その点は全体の結果には大きな影響がないと思う」
と静かに伝えてみます。
ここで大事なのは、指摘自体を全否定しないこと。
「ありがとう」と一旦受け止めつつ、自分の意見も付け加える形です。



こうすることで相手のメンツを保ちつつ、これ以上細かいことを言っても無意味だと悟らせる狙いがあります。
また、上司が相手の場合は言い方により注意が必要ですが、それでも境界線を引く表現は可能です。
例えば、朝礼など公の場で揚げ足取り的な叱責を受けた場合、



「ご指摘いただきありがとうございます。ただ、申し訳ありませんが本件は個別に後ほどご説明させてください」
と提案します。
皆の前で議論せず後回しにすることで、その場ではそれ以上追及させない効果があります。
その後個別に話す際には、



「今後留意します。ただ○○の点については私なりにこう考えて行動しました」
と事実ベースで説明し、自分なりの筋は通すようにしましょう。



毅然とした態度で簡潔に伝えれば、相手も「あまり追及しすぎると逆効果かも」と感じるものです。
境界線を引くもう一つのテクニックは、質問で切り返すことです。
揚げ足取りをする人は一方的に非難しがちですが、



「具体的にはどの部分が問題でしょうか?」
と逆に質問すると意外と答えられなかったりします。
相手が返答に詰まったらチャンスですかさず、



「では次回から気を付けますね。ご指摘感謝します」
と話を打ち切りましょう。こちらが主導権を取り返すイメージです。
ただし相手を論破する必要はなく、あくまで淡々と事実確認をする姿勢を崩さないことが大切です。



こうしたコミュニケーションで「簡単には支配されないぞ」というメッセージを発信することも、ときには必要です。
対処法③ 周囲に相談し味方を作る
揚げ足取りのターゲットにされやすい人は、真面目で大人しい人が多い傾向があります。
一人で抱え込んでしまいがちですが、職場で信頼できる人に相談して味方についてもらうことは非常に有効です。
自分では



「些細なことで悩むなんて情けない」
と思うかもしれませんが、客観的に見れば明らかなハラスメント行為である場合も多いのです。
同僚や先輩に



「実は○○さんからいつも細かいことで指摘されて困っている」
と打ち明けてみましょう。
もし同じ人物から被害を受けている人が他にもいれば、被害者同士で情報共有や連携ができます。



複数人で上司に相談する、あるいは証言し合うなど、個人では難しい対処が可能になるかもしれません。
周囲に相談するメリットはもう一つあります。
それは、自分の状況を客観視できることです。
他の人に話すことで



「自分は悪くないのに責められている」
と改めて実感でき、必要以上に自分を責める思考から抜け出せます。
また、同僚からアドバイスや共感を得るだけでも心理的な負担は軽減します。
職場に産業医やメンタルヘルスの相談窓口がある場合も、遠慮せず利用しましょう。
専門家の視点からアドバイスをもらえるだけでなく、記録として残ることで組織として動いてもらいやすくなる利点もあります。
特に近年はパワハラ防止措置が強化されており、企業には相談窓口の設置や事後対処が義務付けられていますthe-owner.jpthe-owner.jp。
相談があれば会社は対応せざるを得ない仕組みになりつつありますので、泣き寝入りせず声を上げることが大切です。
万一、社内で相談しても改善しない場合は、各都道府県の労働局にある「総合労働相談コーナー」など外部の公的機関に相談する手段もあります。



決してあなた一人で戦う必要はありません。味方を増やし、組織や第三者の力を借りることで、状況を打開する糸口が見つかるでしょう。
対処法④ 法的・制度的な手段を検討する
揚げ足取りがエスカレートしてパワーハラスメント(権力を背景にした嫌がらせ)の域に達している場合、法的・制度的な対処も視野に入れるべきです。
前述の通り、日本では職場のパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が2020年に施行され、大企業では義務化、中小企業でも2022年4月から防止措置が義務化されましたthe-owner.jp。
パワハラの定義には「優越的な立場からの言動」「業務上必要な範囲を超えた行為」「就業環境を害すること」が含まれており、執拗な揚げ足取りで相手の尊厳を傷付け働きに重大な悪影響を与えている場合、これに該当する可能性がありますthe-owner.jpmhlw.go.jp。
会社はパワハラを防止・是正する義務を負っていますので、人事部やコンプライアンス部門に正式に訴えることも必要です。



訴える際には、いつ・どこで・どんな揚げ足取り発言があったか、可能な限り日時と内容の記録(メールやメモ、録音)があると説得力が増します。
仮に会社内で取り合ってもらえない場合は、法的手段も見据えましょう。
労働問題に詳しい弁護士に相談すれば、内容証明郵便で警告してもらう、労働審判や訴訟を起こすなどの選択肢を示してくれます。
ただし大事なのは、自分が置かれている状況を「法に訴えてでも改善すべき深刻な事態」と認識することです。



特に相手が上司で自分に人事権がある場合、我慢し続けると心身に不調を来すリスクがあります。
厚生労働省の調査でも、ハラスメント被害者の多くがうつ病や適応障害など精神疾患のリスクを高めることが報告されています(※参考:職場のメンタルヘルスに関する白書)。
法的措置は最終手段かもしれませんが、



「会社に行けないほど辛い」
「眠れない・食べられない」
といった症状が出ているなら決して躊躇せず、自分を守るために行動してください。
法律はあなたの味方ですし、近年は労働者の権利意識も高まっています。



会社に相談した記録や、医師の診断書なども用意できれば、交渉はよりスムーズになるでしょう。
なお、法的手段に訴える前段階として退職や異動も選択肢に入れてください。無理に戦い続けるだけが解決ではありません。
管理人自身、「もう限界だ」と感じたブラック企業からは勇気を出して退職し、転職することで心身の健康を取り戻せました。
あなたが安心して働ける環境は必ず他にあります。



後述するように、心身を鍛えつつ自分のキャリアを見直すことも、長期的には有効な対処と言えるでしょう。
対処法⑤ 自分自身の心身を鍛える・余裕を持つ
最後に、揚げ足取りに負けないためには自分自身の心と体のコンディションを整えることが基本です。
相手を変えるのは難しくても、自分のストレス耐性やメンタルヘルスを強化することは可能です。
具体的には、十分な睡眠や栄養バランスの良い食事を心がけることに加え、適度な運動(筋トレや有酸素運動)を習慣にするのがおすすめです。



運動がメンタルヘルスに良い効果をもたらすことは科学的にも証明されています。
例えば、運動習慣がない人に比べて定期的に運動している人はストレス耐性が高く、うつ症状の発生率が有意に低いとの研究報告があります(米国で行われた大規模疫学調査など)muscle-and-resign.commuscle-and-resign.com。
身体を動かすことで幸福ホルモン(セロトニンやエンドルフィン)が分泌され、嫌な出来事を引きずりにくくなる効果もあります。
揚げ足取りで消耗しがちな方こそ、ぜひ運動などセルフケアに時間を取ってみてください。



心に余裕が生まれると、自然と相手の攻撃も気にならなくなってきます。
職場だけが全てではないと思えると、職場で多少嫌なことがあっても



「まぁこの人は職場だけの付き合いだし」
と割り切れるようになります。
家族や友人に愚痴を聞いてもらったり、週末はリラックスできる活動をしたりして、自分の世界を広げましょう。



そうすることで、揚げ足取りをする人に心を乱される時間が減り、本来の自分らしさを保つことができます。
最終的に、それでも職場の状況が改善しない場合は転職も視野に入れて構いません。



自分が軽んじられる環境で無理に頑張る必要はないのです。
「逃げるは恥じゃないし役に立つ」ではありませんが、あなたの人生と健康の方が何倍も大切です。



心と体を鍛えつつ視野を広げ、いざとなったら新天地に飛び出す準備をしておけば、揚げ足取りをする人に怯えることも徐々に少なくなるでしょう。
揚げ足取り気質の人と一般の人の比較(心理傾向の違い)
職場で揚げ足取りをする人はどのように一般の人と異なるのでしょうか。
以下の表に、PsychTests社の大規模調査prweb.comprweb.comから抜粋した揚げ足取り気質の人と非該当者の心理傾向の違いをまとめます。



自分の周囲の「揚げ足取りさん」に当てはまる項目がないか、確認してみてください。
比較項目 (心理傾向) | 揚げ足取りをする人の割合 | 揚げ足取りをしない人の割合 |
---|---|---|
否定的な評価を無視しがち | 38%prweb.com | 10%prweb.com |
自分は他人より優れていると考える | 35%prweb.com | 11%prweb.com |
自分の非やミスを認めるのが苦手 | 48%prweb.com | 17%prweb.com |
拒絶されることに強い恐怖がある | 54%prweb.com | 35%prweb.com |
自分は無価値だと感じることが多い | 43%prweb.com | 23%prweb.com |
上記のように、揚げ足取りをする人は自己評価が極端でプライドが高い一方、内面では不安や恐怖も強いという脆い自尊心を抱えていることが分かりますprweb.comprweb.com。
一方、そうでない人は自己認識が比較的安定しており、他者に対して寛容である傾向が読み取れます。
つまり揚げ足取り行為は、本人の内面的な弱さや葛藤の表現であるケースが多いのです。



この違いを理解すると、「なんであの人はあんなに粗探しばかりするんだ?」という疑問も、「自分の心の弱さを隠すためなんだな」と納得できるかもしれません。
おわりに
「揚げ足を取る人」の心理5選と対処法を見てきました。
まとめると、揚げ足取りの裏には劣等感や自己愛の肥大、支配欲、共感欠如、嫉妬・ストレスといった様々な心理要因が潜んでおり、それらが組み合わさって他者批判という行動に現れます。



そうした人々に対しては、無用な戦いを避けつつ自分を守ることが肝心です。
受け流すスキルを身につけ、冷静に境界線を引き、必要なら周囲や法律の力を借りる。
そして何より、自分自身の心身を健やかに保つことが最大の防御策になります。



職場は人生の全てではありません。あなたが安心して働ける環境を見つけることも決して諦めないでください。
理不尽な人間に振り回されず、自分の軸をしっかり持って行動すれば、きっと道は開けるはずです。
もし今まさに揚げ足取りに悩んでいるなら、今日から出来る対処を一つでも試してみてください。
あなたの心の平穏が取り戻せることを、心から願っています。



ブラック企業で180日連続勤務を強いられていた私も、筋トレを通じて心身を鍛え直し、会社を離れる決断ができました。
あなたも決して一人ではありません。自分を大切に、そして時には自分を最優先に行動してくださいね。
よくある質問
- 日常会話で揚げ足を取られたらどうすればいいですか?
-
スルースキルが最も有効です。軽く受け流して感情に巻き込まれないようにしましょう。相手の指摘が細かすぎる場合は、「ご指摘ありがとうございます、次回気を付けます」で一旦受け止め、会話を切り替えるのが効果的です。切り返しすぎると相手に火をつけてしまいます。
- 数回注意された相手に毅然と返答するには?
-
冷静で短い返し方がポイントです。「ご指摘ありがとうございます。ただ、この部分は影響が小さいので全体を優先します」と一言。感情を入れず事実に基づいて返答し、相手が深入りしにくい構えを示しましょう。
- 会話で揚げ足取りされやすい人の特徴は?
-
真面目で指摘されたら謝りがち、人に気を遣うタイプです。そういう人は細かい指摘にも萎縮しやすいため、揚げ足を取る人にターゲットにされやすい傾向にあります。自分の強みを再認識し、自信を持って対応することで抑制につながります。
- 周囲に相談するときどんな方法が効果的?
-
同じような被害を受ける人を探し、情報共有すると安心できます。またHR担当者や産業医に相談し、証拠(日時・内容メモ)を示すことで、正式な解決につながりやすくなります。「被害者の連帯」が有効です。
- 上司に揚げ足取りされた場合は?
-
局所的に話を切り替え、「後ほど説明します」と場を収めましょう。そのあと別途ミーティングを設けて事実を説明し、自分の立場を守ります。パワハラの可能性もあるため、会社方針に基づいた正式な相談ルートも検討してください。
- 記録を取るってどういうこと?
-
いつ・どこで・誰に・どんな発言をしたかをメモします。メール、チャット記録も保存。録音が可能な場合はその証拠も有効です。後から状況を客観的に示す材料になるため、法律や制度に基づいた対応にも役立ちます。
- 自分を守るための心身のケアって何をすればいい?
-
筋トレ・有酸素運動・睡眠・食事など、基本的な生活改善が有効です。運動はストレス耐性を高め、ネガティブな思考に飲まれにくくなります。管理人も筋トレで心身が強くなり、結果的に勇気を持って退職する決断ができました。
- 揚げ足取りを法律的に問題提起するには?
-
パワハラ防止法に基づいて、会社に相談できます。執拗な小言が「優越的立場による精神的攻撃」に該当する可能性があります。相談窓口へ提出する際は証拠(記録・録音)を添えてください。制度の後ろ盾を得ることができます。
- 揚げ足取りをする人の心理にはどんな特徴がありますか?
-
多くは劣等感、自己愛、支配欲、共感性の欠如などが原因です。自信の無さや不安感の裏返しで批判が強くなりがち。仕掛けられた言葉に惑わされず、相手の弱さだと割り切ることで悩みが軽くなります。
- 揚げ足取りがエスカレートしたらどうすればいい?
-
明らかに執拗で悪意ある指摘が続くなら、即座に証拠を収集しましょう。例えば、同じミスを繰り返し何度も指摘される、他の人の前で必要以上に非難されるなどが該当します。録音・記録を増やし、社内の相談窓口や産業医、人事部に正式に伝える土台を作ります。それでも改善されない場合は、外部機関(労働局や弁護士)への相談に繋げましょう。
- 打ち合わせで揚げ足を取られたら?
-
その場で反論せず、後から個別に説明を提案しましょう。会議中は周囲の空気もあるため、公の場で論争になると収拾がつきません。「詳しくお話ししますので、後ほどお時間いただけますか」と切り出すことで、一時的にその場を収められ、冷静な対応が可能です。
- 業務メールで揚げ足取りされた場合の対処法は?
-
冷静に文書で返答し、証拠として残すことが重要です。例えば「ご指摘ありがとうございます。次回からはご指摘いただいた○○の点にも留意します」と書面で対応し、内容と返信履歴が記録されます。曖昧な印象を避けるため、事務的かつ丁寧に記載しましょう。
- 部下が揚げ足取りに悩んでいたらどう支援すべき?
-
心理的安全性を保つ場を作り、相談しやすい雰囲気を整えましょう。まず部下の言い分を傾聴し、「そんなに細かく指摘する人なのか」と気持ちを受け止めます。その後、一緒に具体的な対策(証拠の記録、相談可能な窓口の紹介など)を検討し、心理的に孤立しないよう支援します。
- 揚げ足取りをされやすい言い回しを避けるには?
-
言葉選びに配慮しつつ、自分の発言の意図を明確にすることが有効です。例えば「〜しました」と断定を避け、「〜を確認しました」「〜と思いますがご意見いただけますか」とすることで、間違いがあっても揚げ足を取られにくくなります。
- 自分のメンタルが参っているかの見極め方は?
-
以下の症状があるなら注意信号です:眠れない・食欲が落ちる・出社前に動悸がする・手が震える。こうした状態が続く場合は、揚げ足取りのストレスが心身に影響を与えている可能性が高いです。早めに産業医や医療機関に相談してください。
- 揚げ足取りの相手が心理的に脆いと分かった。今後の態度はどうするのがいい?
-
相手も弱さを抱えていることを知った上で、「フェアな対応」を意識しましょう。攻撃を受けた反射で反撃せず、「いつも細かい指摘ありがとうございます。私も注意して進めますので、今後の改善点も教えていただけると助かります」とやわらかく返すことで、相手が攻撃の手を緩めるケースもあります。
- チーム全体で揚げ足取りが増えてきたら?
-
職場全体のコミュニケーション文化を見直す必要があります。定期的に「称賛会」や「うまくできたことを共有する時間」を作り、ポジティブな関わりを促す場を設けましょう。上司がルール化しないなら、あなたから小さく提案するだけでも雰囲気は変わってきます。
- 揚げ足取りされることで自信を失ったら?
-
自己肯定の習慣を取り入れましょう。毎晩寝る前に「今日できたこと」「自分が成し遂げたことを3つ」書き出すだけで、自分の価値を確認できます。日々の小さな成功がメンタルの基礎をつくり、揚げ足取りによる打撃にも耐えやすくなります。
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